不思議な力を持つ一族 「光の帝国」
こんにちは、ムギです。
最初の記事からずいぶん時間が経ってしまいました!
これからはしばらく時間がとれそうなので、ちょこちょこ投稿していきたいと思っています。
さっそく読書感想。今回の本は、恩田陸さんの光の帝国です。
光の帝国 あらすじ
膨大な書物を暗記する力、遠くの出来事を知る力、近い将来を見通す力。「常野」から来たという彼らは、不思議な力を持っていた。
日本のどこかでひっそりと生きる、常野一族をめぐる連作短編集。
感想
「常野」の人々にまつわる出来事が、淡々と語られていきます。
ぞわりと怖い話もあり、切なくなるような話もあり。連作短編集なので、各話の繋がりを探すのも楽しいです(´∀`=)
特に印象的だったのは表題作の「光の帝国」。
表題作の「光の帝国」は、時代が他より少し前。戦時下の日本で、登場人物たちの生活が徐々に奪われていく状況に、胸が締め付けられました。
そんな状況下でも、自分たちにできることをやり、ただ祈る。 穏やかな中に確かな強さを持つ常野の人々が、強く印象に残ります。
哀しい物語でありながら、読後はすっきりと澄んだ気持ちになれました。
文章もすっきりと読みやすいです。淡々とした感じが物語に合っています。
また、ちょっとした描写や風景が妙に懐かしく、既視感を感じます。
場面がはっきり目に浮かび、自分も同じ体験をしたことがあるような気がする…。これは本作に限らず、同作者の他の作品を読んでも感じます。
(同じように思う人は多いようで、恩田さんにはノスタルジアの魔術師なんていう異名があったりします。笑)
本作でも、リアルな日常と地続きのところに当たり前のように「常野」は存在しています。
しかも、それがいかにも自然。
当たり前すぎて気づかないだけで、不思議な出来事はすぐそこに潜んでいるのかもしれない。
そんな不思議な味わいに魅了されました。
中学一年の時に読んでいたので、再読になります。ほんの3年前ですが、やっぱり今読むと感じ方は全然違いますね〜。
ただ、はっきりとしたオチがないので、人によってはモヤモヤしたまま終わるかもしれません。
あくまで「すこし不思議な物語」感覚的に楽しむ本なのかな、と思います。
ファンタジーともSFともつかない不思議な読み心地が、私は好きでした!
同じく常野一族をめぐる物語で、蒲公英草紙という本があります。
こちらも読んだので、別の記事で感想をかけたらいいなーと思っています。
それではまた次回╰(*´︶`*)╯