ムギの読書部屋

本の感想ブログ。ファンタジー多めです。

本好きにこそ勧めたい「九年目の魔法」

こんにちは!ムギです。

中学も無事卒業して時間はたっぷりあるので、思い切り読書ライフを満喫しています。

 

今回はつい昨日読み終わった本の感想を。私の大好きなを3年ぶりに読み返してみました。

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ九年目の魔法です。

 

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あらすじ

大学生のポーリィは、ある日自分の記憶の一部が二重になっていることに気づく。壁にかかった絵、読みかけの本の内容が、記憶と食い違っているのだ。

ことの起こりは九年前。隣家の葬式でひょろっとした眼鏡の男の人、リンさんに出会ったときのはず。

失われた記憶の謎を探るうち、恐ろしいことが起こっていた…。

 

 

 

 

感想

音楽と本をカギに展開する、極上の現代魔法譚です!

 

主人公は本好きの19歳の少女ポーリィ。

ある本をきっかけに、これまで送ってきた平凡な毎日とは別の、もう一つの記憶が蘇ってきます。

 

10歳の時に出会ったチェロ弾きの青年リンさんのこと。リンさんからもらったたくさんの本。二人で作った物語が、なぜか現実に現れる奇妙な事件。

失われていたのは、自分にとって一番大切な人に関する部分の記憶。

それなのになぜ忘れていたんだろう?

 

はじめて読んだのは小学生の頃だったので、当時はストーリーもざっくりとしか理解できてなかったと思います。

しかし、今回再読してみてびっくり。

たくさんの伏線や仕掛けを盛り込んだ、ものすごく緻密な物語なんです。

 

本作は「詩人トーマス」「タム・リン」というイギリスの妖精譚をベースに書かれています。

それらの物語と重なり合いながら、パズルのピースがはまっていくように物語の仕組みが見えていきます。

この過程は本当に見事で、ドキドキさせられました!

 

また、複雑な物語なのに飽きない理由の一つは、登場人物の魅力でしょう。 

 

主人公ポーリィは、ヒーローになりたい空想好きな少女。それでいて、地に足がつかないような子ではありません。しっかり自分を持った頼もしいヒロインです。

対してリンさんは、ひょろっとした眼鏡の青年。音楽と本が好きで、子供のポーリィとも対等に話をし、ポーリィの書いた物語にも容赦なくダメ出しします。笑

 

10歳以上の年の差ながら、どちらも本好きで頑固なところは似た者同士。本作はこの二人のラブストーリーでもあるんですよ〜。 

ポーリィの学校生活の描写も生き生きしていて、主人公の青春物語として読んでもすごく面白いです。

 

あしながおじさん」のような恋と成長の物語でもありながら、奥にはしっかり魔法の世界観が潜んでいる…。

物語自体が主人公の記憶のように二重になった構造で、読めば読むほど様々な味わい方や発見が見つかる物語です!(*≧∀≦*)

 

 

 

 

おわりに

改めて読んで、作品の著書の中ではこの九年目の魔法が一番大好きな作品だと再確認しました。

ベースとなる話を知らないと腑に落ちないところがあったり、けっこう難解な物語でもあります。(正直2回目でもまだ分からないところもあります…)

 

だけど、その分また読み返したくなるような不思議な作品。

「本」が物語の重要なキーポイントとなっているので、本が大好き!という人にこそ勧めたい一冊です。

 

ダイアナ・ウィン・ジョーンズはすごく好きな作家さんで、前にも感想記事を書きました。

興味がある方はこっちもぜひ読んでみてください↓

クレイジーでほろ苦い「私が幽霊だったとき」

 

 

それではまた次回!