クレイジーでほろ苦い「私が幽霊だった時」
こんにちは、ムギです!
無事に高校受験にも合格したので、図書館通いにも拍車がかかっております。
最近は特にファンタジー熱がやまない状態。
本当は読んだはしから感想を書いていきたいのですが、読む方を優先するのでなかなか難しそうです…。
今回紹介するのは、英国ファンタジーの女王ダイアナ・ウィン・ジョーンズの、「私が幽霊だった時」です。
あらすじ
気がつくと、幽霊になっていた主人公。
生前はどうやら4人姉妹のひとりだったらしいのだが、家族の誰も自分に気づいてくれない。
それどころか、なぜ幽霊になってしまったのか、自分が誰なのかすらわからない!
幽霊になる前の記憶を探るため、奮闘するが…。
感想
普通の幽霊譚とはひと味もふた味も違う物語。
一筋縄ではいかないファンタジーです。
熱中しすぎて、手汗でブックカバーがびちょびちょになってました(^^;
あらすじにある通り、序盤はまったく何もわからない状態でスタートします。
途方にくれる主人公の前に現れる、自分の姉妹らしき人々。4人姉妹といえば「若草物語」のような優雅な女の子たちをイメージしますが、彼女たちはもっと個性的。
大柄で、寝起きは怪物と化す長女のカート。
ピアニスト志望の美少女ながら、自己中で感情の起伏が激しい三女イモジェン。
声が大きく、小さな魔女めいた四女フェネラ。
両親は忙しく、ほとんど育児放棄ぎみ。
それもあってか、不気味な人形を女神モニガンとして信仰してみたり、遊びで首をつりそうになったりととにかくパワフルで強烈です。
はじめて読むときは面食らうかもしれませんが、読んでいくとこの突き抜けたクレイジーさがだんだん快感になるので不思議です。
常軌を逸しているようで、ヒロインたちの置かれている状況や心情は実はリアルだったり。
最初は「ないない」と半ば呆れて読むのですが、よく考えたら自分にも当てはまるところがあるんですよね。笑
次女サリーはというと、両親を心配させる計画として、こっそり家出して死んだことにさせられているようです。
(なのに両親は気づかない…(ーー;))
ということは、普通に考えてこの場にいないサリーが主人公のはず。
しかし、主人公は友達の家に泊まっているサリーを目撃します。
じゃあ一体、この幽霊はだれなんだろう?
ここまでのところがちょっと複雑で混乱しそうになります。頑張って読んでいくと、中盤からは一気に予想外の展開に。
見事に伏線を回収する様は、ミステリー小説のような面白さがあります。
ネタバレしてしまってはいけないので詳しくは書けませんが、「ん?」と思うところも含めてしっかり読んでください!
ラストはほろ苦くも胸に残ります。序盤のハチャメチャさからは想像できない見事な結末でした。
まとめ
ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんは、私の大好きな作家のひとり。
破天荒なヒロイン、勢いよく進んでいくストーリー、そして見事な伏線回収。一度ハマるとくせになる作風です。
本作は作者の書く物語の魅力が詰まっていて、大満足でした!
全体に漂う霧が立ち込めたようなおどろおどろしい雰囲気もなかなかよかったです。ホラーやミステリーファンにもおすすめできる一冊だと思います。
作者は「大魔法使いクレストマンシー」シリーズや、「ハウルの動く城」シリーズなど、素晴らしい作品を他にもたくさん書かれています。
本作を読んで、これらもまた再読したくなってきました。
しばらくは存分にファンタジーを楽しみたいと思います!
それではまた次回♪( ´▽`)